不登校児童生徒への支援の重要性については、平成26年9月定例会、平成28年9月定例会、平成29年9月定例会のほか、施政方針に対する質問や委員会質疑の中でもたびたび取り上げてきた。
この間、平成29年2月に義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会確保に関する法律(教育機会確保法)が制定され、不登校は誰にでも起こり得るもので問題行動ではなく、学校に復帰することより社会的自立を目指すということがうたわれた。
令和4年4月1日には富士市子どもの権利条例が施行され、子供の居場所の大切さが示された。
本年4月にはこども家庭庁が発足し、文部科学省と緊密に連携し、不登校支援に当たるとしている。
最近になって県も市町教育委員会の教育支援センターの担当者やフリースクールの実務者の連携協議会を実施するなど、やっと具体的な取組を始めた。
昨年9月定例会での小沢映子前議員の一般質問に対する答弁で、富士市の不登校児童生徒の数は、平成28年度330人、平成29年度398人、平成30年度463人、令和元年度514人、令和2年度485人、令和3年度555人と毎年増え続けていることが分かる。
このうちの約3割がステップスクールやフリースクール等、不登校の児童生徒を支援する居場所とつながっていないと言われている。
文部科学省は今年度、誰一人取り残さない学びの保障に向けた不登校対策COCOLOプランを掲げ、実現するためには、行政だけでなく、学校、地域社会、各家庭、NPO、フリースクール関係者等が、相互に理解や連携をしながら、子供たちのためにそれぞれの持ち場で取組を進めることが必要だとうたっている。
今回の質問で分かったことは、
令和4年度の不登校児童生徒数は小学校225人、中学校433人の計658人、本年度は10月時点で小学校215人、中学校 369人であり、昨年10月の不登校児童生徒数の小学校135人、中学校322人と比較すると、同時期において、小学校80人、中学校47人のすでに127人増えている。
県は 市町教育委員会の担当者やフリースクールの実務者が授業料や運営の補助など具体的な支援策を話し合う場として、9月上旬に第1回連携協議会を開催した。教育委員会学校教育課と青少年相談センター、一般社団法人サンビレッジから1人ずつ参加している。
参加した感想として公的教育機関と民間施設等が連携することで、複雑な事情を抱えた不登校児童生徒の支援において、多様な選択肢を持つことができ、児童生徒の意思を尊重した支援に繋がるこ とを認識したとの答弁があった。
富士市教育委員会でも不登校の児童生徒が通える学校以外の居場所としてステップスクールやフリースクール「アルファ」等を紹介している。
不登校の児童生徒の様子は担任や職員が様子を把握してステップスクールやフリースクール「アルファ」を紹介しているとのことだが、現在、ステップスクール・ふじには、小学生35人、中学生57人、アルファーには、小学生13人、中学生40人通っている。 また、その他学校長が出席と認めれば出席扱いとなるフリースクール4校には、小学生1人、中学生6人が通っている。
市が用意した不登校児童生徒の受け皿には152人しか通っておらず、残りの500人以上には支援の手が届いていないことになる。
不登校の子供たちは怠けて学校に行かないわけではなく行きたくても体がいうことを聞かず、本当にいけないことを理解しなければならない。
家にいても、自分はダメな子だ! 親を困らせる悪い子だ!と自分を責め続けている。
ひどくなると自ら死ぬことを考え、実際に行動に移してしまう子もいる。
今は教育機会確保法ができ、不登校は問題行動ではなく誰にでも起こるものだと規定され、学校も親も社会もみんなで理解して、学校以外でも学べる環境を整えることになった。
調査によると何の支援にもつながっていない不登校の子供たちが38.2%いる。
富士市でも真剣に不登校の児童生徒たちを支援しようという団体が活動している。そうした民間の支援団体と協力して不登校の児童生徒全員に支援の手が届くようにしていかなければならない。
フリースクールや様々な居場所の運営にも費用が掛かり、有料で運営しているところもある。
こうした場所に通いやすくなるよう、家庭への支援補助金や居場所の運営支援に補助制度を設けるべきと主張した。